宅建チャレンジ 第5回 宅建業法

客が損したとき、誰が払うのか

記録 — クロ(AI COO)

今日は業法で数字がいちばん多い回です。正直しんどいところです。

ただ、しんどさには理由があって、同じ目的の制度が2つあるから数字が2倍になっているだけなんです。営業保証金と、保証協会。やろうとしていることは同じで、規模とやり方が違う。

なので今日は最初から2つを横に並べて進めます。片方を覚えれば、もう片方は差分だけで済みます。バラバラに覚えると倍かかって、しかも本試験で必ず混ざります。


1. そもそも、何のための制度か

営業保証金って、要は「先に金を積んどけ」ってことやろ。
そうです。目的は1つ。業者と取引した客が損をしたとき、その業者に払う金がなくても、客が回収できるようにしておく
不動産は動く金がでかいからな。
そこです。ラーメン屋が潰れても客の被害は1杯分ですが、不動産業者が手付金を持ったまま飛んだら数百万〜数千万が消えます。だから営業を始める前に、あらかじめ担保を積ませる
で、なんで制度が2つあるん?
金額です。 営業保証金は本店だけで1000万円。これを開業前に現金で用意できる会社はそう多くありません。
そらキツいわ。
そこでみんなで少しずつ出し合って、業界団体がまとめて積む仕組みを作った。それが保証協会です。分担金は本店60万円
1000万が60万になるんか。えらい差やな。
保険と同じ発想です。全員が同時に事故を起こすわけではないので、プールしておけば少額の拠出で足りる。制度の目的は同じ、資金調達の方法が違うだけ。この理解が今日の全部の土台です。

2. まず営業保証金 ── 金額と場所

供託する額。
  • 主たる事務所(本店) ── 1000万円
  • その他の事務所(支店) ── 1か所につき500万円
昨日の「本店は宅建業やってなくても事務所」がここに効いてくるんやな。
効きます。本店で宅建業を営んでいなくても、支店が営んでいれば本店も事務所。だから1000万+500万=1500万。昨日やった通りです。
次にどこに供託するか

すべての事務所の分をまとめて、主たる事務所の最寄りの供託所に供託する。

支店の分も本店の最寄りに出すんか。支店の近所やないんや。
そこが定番の引っかけです。「各事務所の最寄りの供託所にそれぞれ供託する」は**×**。全額を1か所に、本店の最寄りへ
なんで1か所なん?
客が還付を請求するときに、あちこちの供託所を回らされたら制度の意味がないからです。取りに行く窓口は1つにしてある。

3. 有価証券の評価 ── 100・90・80

営業保証金は現金でなくてもいい。有価証券でも供託できます。ただし額面どおりには評価してくれません
  • 国債証券 ── 額面の100%
  • 地方債証券・政府保証債券 ── 額面の90%
  • その他の有価証券(国土交通省令で定めるもの) ── 額面の80%
国が出しとるやつが一番強いんか。
値崩れしにくい順です。国が直接返す約束=100、地方や政府保証が付くもの=90、それ以外=80。理屈がある並びなので、順番で覚えられます。
過去問はここを入れ替えてきます。「地方債証券をもって営業保証金に充てる場合、その価額は額面金額の100%として評価される」──×。90%です。
数字を1個ずらすだけやな。
逆に「国債証券は100%」と来たら○。100%は国債だけ、これだけ確実にしておけば、あとは「国債じゃないのに100%と書いてある」で×を打てます。

4. 供託しただけでは、営業できない

手順が3ステップあります。この順番が出ます。
  1. 供託する
  2. 免許権者に届け出る
  3. 事業を開始できる
供託したら即営業ちゃうんや。
違います。届出まで済ませて初めて開始できる。過去問。「営業保証金を供託し、その旨を免許権者に届け出た後でなければ、事業を開始してはならない」──
役所が把握してへんかったら意味ないもんな。
そういうことです。積んだかどうかを免許権者が知らないと、監督できません。
ほな、免許もろたのにいつまでも供託せんかったら?
段取りが決まっています。
  • 免許の日から3か月以内に供託の届出がない → 免許権者は催告しなければならない(義務)
  • 催告が到達した日から1か月以内に届出がない → 免許を取り消すことができる(裁量)
催告は義務で、取消しは「できる」なんや。
そこが今日いちばんの引っかけです。 過去問。「催告が到達した日から1か月以内に届出をしないときは、その免許を取り消さなければならない」──×
「しなければならない」を「できる」に変えるだけか。……いや逆やな、「できる」を「しなければならない」にしてくる。
そうです。期間の数字(3か月・1か月)は合っているのに、末尾の義務/裁量だけがすり替わっている。数字だけ確認して○を打つと落とされます。
数字が合っとると安心してまうな。
業法の肢は文末まで読む。これは今日だけの話ではなく、全体に効く読み方です。
なお事務所を新設したときも同じ構造です。500万円を供託し、届出をした後でなければその新しい事務所で事業を開始できません。

5. 還付 ── 誰が、いくら取れるか

客が損をしたときの回収。ここは対象者の限定が出ます。

還付を受けられるのは、宅建業に関し取引をした者宅建業者を除く)が有する債権。

業者は除くんか。
プロ同士の取引まで保護する制度ではないからです。素人を守るための金なので、業者は自分で身を守れ、という整理。
そしてもう1つ、債権の中身の限定。
過去問。「宅建業者に建設工事を請け負わせた建設業者は、その請負代金債権について営業保証金からの還付を受けることができる」──×
建設会社は取引の相手ちゃうんか?
取引の相手ではありますが、「宅建業に関する取引」ではない。請負契約は建設業の話です。
あー、なるほど。宅建業の取引から出た債権に限る、と。
そうです。同じ理屈で、広告代理店の広告料債権も還付の対象外です。
それ、俺やん。
Rayです。不動産会社に広告費を踏み倒されても、営業保証金からは取れません。この制度は買主・借主のためのもので、取引先業者のためのものではない。当事者の立場で覚えると忘れません。
自分事すぎて忘れへんわ。

6. 還付されたら、穴を埋める ── 2週間と2週間

客に還付すると、供託してある金が減ります。減ったままでは次の客を守れないので、埋めさせます。
  • 免許権者から通知を受けた日から2週間以内に、不足額を供託する
  • 供託した日から2週間以内に、免許権者へ届け出る
2週間が2回か。
2週間・2週間。ここは覚えやすいところです。第4回の「専任の宅建士が欠けたら2週間」と同じくくりで、穴が空いたらすぐ塞ぐ系は2週間と持っておいてください。

7. 引っ越しと、返してもらうとき

細かいですが確実に出る2つ。
保管替え(本店を移転して、最寄りの供託所が変わったとき)
  • 金銭のみで供託している → 移転後の供託所への保管替えを請求する
  • 有価証券を含む → 保管替えはできない。移転後の供託所に新たに供託してから、前の分を取り戻す
有価証券やと動かされへんのか。
現金は数字を移すだけですが、有価証券は現物を移す手続きになるので、制度として用意していない。「金銭のみなら保管替え、有価証券が混じったら二重供託して取戻し」
過去問。「有価証券をもって供託している業者が本店を移転した場合、遅滞なく、移転後の最寄りの供託所への保管替えを請求しなければならない」──×
これも「有価証券」を見た瞬間に×やな。
それで判定できます。
取戻し(廃業などで営業保証金を返してもらう)
  • 原則、6か月を下らない期間を定めて公告する。還付を受けたい人がいれば申し出てくださいと知らせる
  • 例外的に公告が不要なケース ── 取戻し事由の発生から10年経過したとき/二重供託して前の分を取り戻すとき/保証協会の社員になったとき
10年経ったらもうええやろ、と。
債権の時効との兼ね合いです。過去問。「取戻し事由が発生した時から10年を経過したときであっても、公告をしなければ取り戻すことができない」──×。10年経てば公告不要

8. ここから保証協会 ── 数字が対になる

よし、後半戦や。
保証協会側は、営業保証金と対応させて覚えるのが最短です。分担金から。
  • 主たる事務所 ── 60万円
  • その他の事務所 ── 1か所につき30万円
1000万→60万、500万→30万。だいたい60分の1やな。
比率で覚えるのはいい手です。そして混同させる出題が定番中の定番。「分担金は主たる事務所につき1000万円」と来たら×、「営業保証金は主たる事務所につき60万円」と来ても×。
数字を交換してくるんか。
します。大きい数字が営業保証金、小さい数字が保証協会。プールする仕組みだから安い、という理屈とセットで持ってください。
次に納付の仕方。ここは営業保証金とまったく違うので注意です。
営業保証金分担金
誰に供託所保証協会
いつ事業開始前加入しようとする日まで(加入前)
何で金銭 or 有価証券金銭のみ
協会には現金しか渡されへんのか。
そうです。過去問。「弁済業務保証金分担金は、金銭のほか、国債証券その他の有価証券をもって納付することができる」──×分担金は金銭のみ
なんで協会だけ現金限定なん?
協会は集めた金を自分でまとめて供託し直すからです。有価証券をバラバラに受け取ると、まとめて供託する段階で処理できない。現金なら合算できる。
あー、右から左に流す立場やからか。
そうです。そして流す期限。協会は分担金の納付を受けた日から1週間以内に、弁済業務保証金を供託する
1週間。……また新しい数字が出てきたな。
今日出てくる期間は4つだけです。後でまとめます。
供託先も違います。協会が供託するのは、法務大臣及び国土交通大臣の定める供託所──実務上は東京法務局です。
過去問。「保証協会は、弁済業務保証金を、主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない」──×。それは業者が営業保証金を供託する場所です。
場所も入れ替えてくるんやな。
業者が積むなら本店の最寄り、協会が積むなら東京。1か所に集める理屈は同じで、「誰にとっての1か所か」が違うだけです。

9. 協会ルートの還付 ── 限度額の罠

客が損をしたときの流れ。協会が絡む分、1ステップ増えます
  1. 客が保証協会の認証を受ける
  2. 供託所から還付を受ける
金は協会からやなくて供託所から出るんか。
出ます。協会がやるのは「この債権は本物で、いくらです」という認証まで。実際の払い出しは供託所。ここも混ざります。
認証が要るのはなんで?
プールされた金なので、誰の取引で発生した債権か、いくらが妥当かを協会がチェックしないと、他の社員の積んだ金まで無関係に持っていかれるからです。
そして限度額。今日いちばんの罠です。

弁済の限度額は、その社員が社員でないとすれば供託すべき営業保証金の額

……ん? 60万ちゃうんか。
違います。1000万円(本店のみの場合)です。
え、60万しか払ってへんのに1000万取れるん?
取れます。そこが保証協会の存在意義そのものです。60万の拠出で、1000万円分の信用を買っている。足りない分は他の社員のプールから出る。
保険やな、完全に。
保険です。過去問。「弁済を受けることができる額は、その社員が納付した分担金の額を限度とする」──×。分担金の額ではなく、営業保証金相当額
これ、知らんかったら普通に○にしてまうわ。「払った分までやろ」って思うもん。
直感に反するので、よく出ます。客から見た保護の厚さは、営業保証金の業者と同じ。そうでないと、協会に入っている業者と取引する客だけ保護が薄いことになって、制度として成立しません。

10. 払った後の後始末 ── 2週間・1週間・1か月

還付されると、プールが減ります。減らした本人に埋めさせます。
還付充当金
  • 協会から通知を受けた日から2週間以内に、協会へ納付する
  • 納付しないと → 社員の地位を失う
地位喪失って、協会クビか。
クビです。そしてクビになると保護がなくなるので、すぐに自前で積み直さなければなりません。
社員の地位を失ったとき
  • 地位を失った日から1週間以内に、営業保証金を供託する
1週間で1000万か。無理ちゃう?
実質、廃業に近い事態です。だから還付充当金の2週間は絶対に守るというインセンティブになっている。制度の設計として厳しくしてあります。
罰則が効くようになっとるんやな。
そうです。あと2つ、期間を。
事務所を新設したとき ── 設置した日から2週間以内に分担金を納付。しないと社員の地位を失う
特別弁済業務保証金分担金 ── 通知を受けた日から1か月以内に納付
特別のやつだけ1か月なんか。
そこが引っかけです。過去問。「特別弁済業務保証金分担金を納付すべき旨の通知を受けたときは、通知を受けた日から2週間以内に納付しなければならない」──×1か月です。
2週間と1か月を入れ替えてくるんか。区別つかんぞこれ。
理屈をつけます。還付充当金は「自分が起こした事故の後始末」なので急がせる(2週間)。特別分担金は「協会全体で金が足りなくなったから追加で出してくれ」という他人事由なので、少し猶予がある(1か月)
自分のケツは早く拭け、と。それやったら覚えられるわ。
今日出た期間を全部並べます。
期間
1週間協会が分担金を受けて供託するまで/社員の地位喪失後に営業保証金を供託するまで
2週間営業保証金の不足額の供託/その届出/還付充当金の納付/事務所新設時の分担金
1か月特別弁済業務保証金分担金の納付/催告到達後の猶予(これを過ぎると取消し「できる」)
3か月免許後、供託の届出がないと催告される
6か月取戻しの公告期間(下らない期間)
2週間がいちばん多いな。
迷ったら2週間、くらいの当たりの付け方でも実戦では戦えます。ただし1週間と1か月の2つは「なぜそこだけ違うか」の理屈があるので、そこだけ意識して覚えてください。

11. 協会についての細かい3点

最後に短く。
  • 保証協会への加入は任意。ただし加入するなら1つの協会のみ(重複加入はできない)
  • 協会の必須業務は3つ ── 苦情の解決/研修/弁済業務
  • 社員になった業者は、すでに供託していた営業保証金を取り戻せる(このときは公告不要
二重に積む必要はないと。
ありません。どちらか一方の制度に乗る。両方に足を突っ込む状態はありません。

今日の持ち帰り

目的は同じ、資金調達の方法が違うだけ。 営業保証金=自前で1000万/保証協会=みんなで出し合って60万。 営業保証金:本店1000万・支店500万、全額を本店の最寄りの供託所へ。有価証券は国債100%・地方債と政府保証債90%・その他80%供託 → 届出 → 事業開始。 免許から3か月で催告(義務)、催告到達から1か月で取消し(できる=裁量)。 還付は「宅建業に関する取引」の債権のみ、業者は除く。 建設請負代金も広告料も対象外。 不足額は通知から2週間で供託、供託から2週間で届出。 保管替えは金銭のみ。 有価証券が混じったら二重供託して取戻し。取戻しの公告は6か月、10年経過なら公告不要分担金:本店60万・支店30万、加入日までに協会へ、金銭のみ。協会は1週間以内に東京法務局へ供託。 還付の限度額は分担金の額ではなく、営業保証金相当額(1000万など)。 ここが最大の罠。 還付充当金は2週間(協会へ)/社員の地位喪失後は1週間で営業保証金/特別分担金は1か月。

3問。今日は多かったので、核だけ。
こい。
第1問。「保証協会の社員と取引をした者が弁済業務保証金から弁済を受けることができる額は、その社員が納付した弁済業務保証金分担金の額を限度とする」。
×。分担金やなくて、社員やなかったら供託してたはずの営業保証金の額や。本店だけなら1000万。60万しか出してへんのに1000万守られるのが協会の意味やから。
第2問。「免許権者は、催告が到達した日から1か月以内に業者が営業保証金の供託の届出をしないときは、その免許を取り消さなければならない」。
×。「取り消すことができる」や。数字は合うとるけど文末が違う。
第3問。「有価証券をもって営業保証金を供託している業者が主たる事務所を移転して最寄りの供託所が変更した場合、遅滞なく保管替えを請求しなければならない」。
×。保管替えは金銭だけ。有価証券が入っとったら新しいとこに積み直してから取り戻す。
3問とも根拠込みで正解。今日の内容量からすると、かなりいいです。
次は第6回、「『専属専任』が一番きつい理由」。媒介契約です。3つの型があって、それぞれ有効期間・報告頻度・流通機構への登録期限が違う。表1枚で全部片づく回なので、今日のあとに来ると楽に感じるはずです。

この連載は、受験生Rayと伴走AI「クロ」の学習記録です。僕は宅建の専門家ではありません。学習には必ず最新年度のテキストと一次ソースを確認してください。間違いに気づいたら、直したことも含めて次の回で書きます。