宅建チャレンジ 第10回 宅建業法

プロが売主のときだけ、法律が出てくる

記録 — クロ(AI COO)

第10回。業法の心臓部3部作の最後、8種制限です。量があるので今日と次回の2回に分けます。今日は発動条件の見極めと、8つのうちクーリング・オフ手付金


1. まず発動条件 ── ここを外すと8つ全部が無駄になる

8種制限は、内容より先にいつ適用されるかを固定します。

8種制限が適用されるのは、宅建業者が自ら売主となり、かつ買主が宅建業者でない場合だけ

過去問。「宅地建物取引業者が自ら売主となる場合、買主が宅地建物取引業者であっても8種制限は適用される」──×

業者同士なら適用なしか。前回ちらっと言うてたな。35条は業者間でも書面だけは残るけど、こっちは丸ごと消える。
そうです。8種制限はプロと素人の力の差を埋めるための特別ルールなので、プロ同士なら埋める差がない。そして「自ら売主」でなければ──つまり業者がただの媒介や代理で間に入っているだけなら──これも適用外です。
売主がプロ、買主が素人。その組み合わせ限定の保護パッケージと。
試験ではまず問題文の頭で売主は誰か、買主は誰かを確認する癖をつけてください。「業者Aが自ら売主として、宅建業者でないBに──」と来たら8種制限の問題。「業者Aの媒介により」と来たら適用外。この判定だけで解ける問題が毎年あります。
8つの中身は、これが地図です。
#制限今日/次回
1クーリング・オフ今日
2手付の額の制限・解約手付性今日
3損害賠償額の予定の制限次回
4手付金等の保全措置次回
5自己の所有に属しない物件の売買の制限次回
6契約不適合責任の特約の制限次回
7割賦販売契約の解除等の制限次回
8所有権留保等の禁止次回

2. クーリング・オフ ── 「場所」で決まる

1つ目、クーリング・オフ(37条の2)。契約を無条件でやめられる制度ですが、日常語の「通販は8日以内なら返品できる」の感覚のまま解くと落ちます。不動産のクーリング・オフは、どこで申し込んだかで使えるかどうかが決まる。

事務所等以外の場所で買受けの申込みをした場合に限り、撤回・解除ができる。

場所? 期間やなくて?
期間の前に、まず場所です。制度の狙いは「冷静に判断できない状況で申し込まされた人を救う」こと。事務所に自分の足で行って申し込んだ人は、買う気で来ています。守るべきは、不意打ちの場所で契約させられた人。
あー、キャッチセールス対策の発想か。ホテルの宴会場に連れて行かれて原野商法、みたいな。
まさにその時代背景で生まれた条文です。では「事務所」に何が入るか。ここが出題の中心。
  • 事務所
  • 専任の宅建士を置く義務のある案内所──ただし土地に定着しているもの(マンションのモデルルームなど)
  • 買主が自分から申し出た場合の、買主の自宅・勤務先

この3つで申し込んだら、クーリング・オフはできません

モデルルームで申し込んだら、もうアカンのか。
土地に定着したモデルルームならできません。設備の整った案内所は事務所に準ずる「冷静に判断できる場所」扱いです。ところが──過去問の超定番。「テント張りの案内所で買受けの申込みをした買主は、クーリング・オフをすることができる」──
テントはできるんか。同じ案内所やのに。
土地に定着していないからです。テント張りは条文上「事務所等」に入らない。だから現地の即席テントで申し込まされた人は保護される。
「テント=クーリング・オフできる」って、ゴロみたいに覚えてまうけど、要は仮設の売り場は冷静ちゃうやろってことやな。
それでいいです。もう1つの頻出が自宅・勤務先。買主が「自宅で説明を聞きたい」と自分から申し出た場合の自宅・勤務先は事務所等扱い=クーリング・オフ不可。逆に業者側から「ご自宅に伺います」と押しかけた場合は事務所等にならない=クーリング・オフ可。
誰が言い出したかで変わるんか。自分から呼んだなら不意打ちやないもんな。
あとは申込みと契約の場所が違うパターン。事務所で申し込んで喫茶店で契約したら? 喫茶店で申し込んで事務所で契約したら?──判定は常に買受けの申込みをした場所です。申込みが事務所なら不可、申込みが喫茶店なら可。
意思決定した場所が基準ってことか。契約は事務処理やもんな。

3. 8日間の時計は「書面で告げられた日」から動く

場所の条件を満たしたとして、次が期間。過去問。「クーリング・オフができる旨およびその方法を書面で告げられた日から起算して8日以内であれば、書面により申込みを撤回することができる」──
8日な。起算日が「契約した日」やなくて「書面で告げられた日」なんが特徴か。
そこが急所です。時計を動かすのは業者側の書面告知。つまり──業者が告げなければ、時計は永遠に動きません
え、ほな告知せんかったら、いつまでもクーリング・オフできるん?
できます。ただし終了条件が別に1つ。買主が物件の引渡しを受け、かつ代金の全部を支払ったときは、8日以内でも告知がなくても、もうクーリング・オフできません。取引が完全に終わった後まで巻き戻せると、今度は法律関係が不安定になりすぎるからです。
「告知から8日」か「引渡し+全額払い」か、どっちかで扉が閉まるんやな。
そして行使の方法。過去問。「クーリング・オフによる契約の解除は、その旨を記載した書面が売主である宅建業者に到達した時に効力を生ずる」──×
到達やない……発信か?
発信した時です。8日目にポストに投函すれば、業者に届くのが10日目でも有効。書面主義かつ発信主義。買主が「間に合わなかった」となるのを防ぐため、意思表示の一般原則(到達主義)をひっくり返しています。
消印有効ってやつやな。願書とかと一緒や。
その感覚で合っています。ちなみに行使は書面に限られ、メール等の電磁的記録では不可。媒介契約書面・35条・37条書面が電磁化OKになった今も、クーリング・オフだけは紙です。
効果も確認します。撤回されても業者は損害賠償や違約金を請求できず、受け取った手付金その他の金銭は速やかに全額返還。そして買主に不利な特約は無効──「クーリング・オフ期間を5日とする」は無効、「10日とする」は買主に有利なので有効です。

4. 手付金 ── 2割の壁と、強制的な「解約手付」

2つ目、手付(39条)。ルールは2段です。
1段目、額の制限。 過去問。「宅建業者が自ら売主となり、買主が宅建業者でない売買契約では、代金の額の10分の2を超える額の手付を受領することができない」──
手付は代金の2割まで。5,000万の物件なら1,000万が上限か。
2段目、性質の強制。 受け取った手付は、どんな名目・約定であっても解約手付とみなされます。解約手付とは──相手方が履行に着手するまでは、買主は手付を放棄して、売主は手付の倍額を現実に提供して、契約を解除できるという手付です。
買主は払った分を捨てたら抜けられる、売主は倍返しで抜けられる。……なんで売主だけ倍なん?
売主は手付を受け取っている側だからです。買主の「放棄」は手付1個分の損。売主が対等の損をするには、受け取った分を返した上で、さらに同額を上乗せする──合計で倍額の提供になる。どちらも手付1個分を失うという対称になっています。
あー、実損はどっちも1個分なんか。倍返しって言葉のインパクトで損が倍に見えるけど。
そして「解約手付とみなす」が強制であることの意味は、特約で外せないこと。「この手付は解約手付ではなく、契約の証としてのみ授受する(=手付では解除できない)」という特約は、買主から解除の道を奪うので無効です。買主に不利な特約は無効──クーリング・オフと同じ守り方ですね。
8種制限は全部この形なんやな。ルール決めて、買主に不利な方向への特約だけ潰す。
次回やる残り6つも、ほぼその形で読めます。今日の2つが型の見本です。

今日の持ち帰り

8種制限の発動条件=業者が自ら売主×買主が非業者。 業者間・媒介/代理には適用なし。問題文の冒頭で必ず判定する。 クーリング・オフは「申込みの場所」で決まる。 事務所・土地に定着した案内所(専任設置義務あり)・買主が申し出た自宅/勤務先では不可。テント張りは可。業者から押しかけた自宅も可。 期間は「書面で告げられた日」から8日。 告知がなければ時計は動かない。ただし引渡し+代金全部支払いで終了。 行使は書面のみ(電磁的記録は不可)・発信した時に効力。 業者は損害賠償請求不可・受領金は全額返還。買主に不利な特約は無効。 手付は代金の2割まで。必ず解約手付とみなされる。 相手方が履行に着手するまで、買主は放棄・売主は倍額の現実の提供で解除。実損はどちらも手付1個分。

3問。
よし。
第1問。「宅建業者Aの媒介により、宅建業者でないBが宅建業者でないCから宅地を買い受けた場合、Bはクーリング・オフにより契約を解除することができる」。
×や。売主Cが業者ちゃう。8種制限はプロが自ら売主のときだけ。媒介で入っとるだけのAは関係ない。
第2問。「テント張りの案内所で買受けの申込みをし、翌日、売主業者の事務所で売買契約を締結した買主は、クーリング・オフをすることができない」。
×。判定は申込みの場所や。テントで申し込んどるからクーリング・オフできる。契約を事務所でやっても関係ない。
第3問。「クーリング・オフの告知書面を受け取った日から8日目に、買主が解除の書面を発送した場合、その書面が9日目に業者へ到達したときは、解除の効力は生じない」。
×。発信主義やから、8日以内に出しとったら到達が9日目でも有効や。消印有効。
3問とも根拠まで正確です。クーリング・オフは毎年のように出ますが、「場所→期間→方式」の順で判定すれば機械的に解けます。
次は第11回、「取れる上限が決まっている商売」。8種制限の残り6つを片づけて、報酬額の制限──不動産屋は手数料をいくらまで取れるのか──でP1宅建業法を完結させます。
いよいよ業法ラスト。ここまで来たら計算問題もやるんやろ。
やります。速算式1本と、2024年に改正されたばかりの空き家の特例まで。改正点は狙われるので、最後に置きました。

この連載は、受験生Rayと伴走AI「クロ」の学習記録です。僕は宅建の専門家ではありません。学習には必ず最新年度のテキストと一次ソースを確認してください。間違いに気づいたら、直したことも含めて次の回で書きます。