宅建チャレンジ 第11回 宅建業法

取れる上限が決まっている商売

記録 — クロ(AI COO)

第11回、P1宅建業法の最終回です。8種制限の残り6つを片づけて、最後に報酬──この商売はいくらまで取っていいのか──で業法を締めます。


1. 残り6つの共通思想 ── 「先に取るな、押しつけるな」

前回の2つ(クーリング・オフ、手付)を含め、8種制限は全部素人の買主が大金を先に握られて動けなくなるのを防ぐ仕組みです。残り6つは、「金を先に取りすぎるな」系と**「リスクを買主に押しつけるな」系**の2束で読めます。
束ねてくれるんは助かるわ。8個バラバラは覚えられん。

2. 損害賠償額の予定 ── 手付と同じ「2割」

過去問。「損害賠償額の予定と違約金を合算した額が代金の10分の2を超える定めをすることができない」──
手付の上限と同じ2割か。合算っていうのがミソやな。予定で2割、違約金で2割、合わせて4割とかはでけへんと。
そこが引っかけポイントの1つ目。2つ目は超えたらどうなるか──契約全体が無効ではなく、超える部分だけが無効
出た、第6回の「3か月に短縮」と同じ発想や。依頼者……やなくて買主に不利にならん方向に直すんやな。
そのとおり。業法の直し方は一貫して「保護される側が困らない形に切り詰める」です。

3. 手付金等の保全措置 ── 5%・10%・1000万円

4つ目、保全措置(41条)。物件の引渡し前に業者が受け取る手付金・中間金──手付金等──は、業者が倒産すれば消えます。だから一定額を超えて受け取るなら、銀行の保証や保険で保全してからにしろという制度。
その「一定額」がこれです。
物件保全が必要になるライン
未完成物件代金の**5%**超 または 1000万円
完成物件代金の**10%**超 または 1000万円

過去問。「未完成物件の売買では、手付金等の額が代金の10分の1を超えるとき、または1000万円を超えるときに保全措置が必要となる」──×

未完成は**5%**やな。10%は完成物件のほう。……未完成のほうが厳しいんは、完成せんまま飛ぶリスクがあるからか。
そうです。未完成は「建物がまだ存在しない」ぶんリスクが高いので、ラインが手前にある。5と10の入れ替えが最頻出です。1000万円は両方共通。
例外と効果を3つ。
  • 買主が所有権の登記を備えたら保全不要。登記さえあれば業者が飛んでも物件は買主のもの
  • 保全の方法は、未完成物件では銀行等の保証・保険。完成物件ではこれに指定保管機関による保管が加わる
  • 業者が保全措置を講じないとき、買主は手付金等の支払いを拒否できる(拒否しても債務不履行にならない)
払わんでええ、って明文で言うてくれるんは強いな。

4. 他人物売買と契約不適合 ── 「押しつけるな」系

5つ目、自己の所有に属しない物件の売買の制限。他人の物件を「後で仕入れて渡すから」と先に売る──民法では実は有効ですが、8種制限の場面では原則禁止です。仕入れに失敗したら、素人の買主が宙に浮くから。
過去問。「その所有者と取得する契約を締結していても、自ら売主として売買契約を締結することは一切できない」──×
「一切」が臭うな。例外があるんやろ。
あります。物件を取得する契約(予約を含む)をすでに結んでいるなら売ってよい。仕入れが確定していれば買主が宙に浮く心配はない。ただし停止条件付きの取得契約ではダメです──「農地転用の許可が下りたら取得する」のような条件付きは、まだ確定ではないので。
予約は○、条件付きは×。確定しとるかどうかの線やな。
6つ目、契約不適合責任の特約の制限。買った物に欠陥があったときの責任を、特約で軽くできるか。原則は「民法の規定より買主に不利な特約は無効」。ただし1つだけ許された緩和があります。
過去問。「契約不適合の通知期間を『契約締結の日から2年間』とする特約は有効である」──×
契約締結日やなくて……引渡しの日か。
「引渡しの日から2年以上」だけが有効。民法の原則は「不適合を知った時から1年以内に通知」ですが、これだと売主はいつまでも責任を追及されうる。そこで「引渡しから2年以上」に区切る特約だけ許した。起算点を契約締結日にずらすと、引渡しが遅れた場合に期間が実質目減りして買主に不利なので無効です。
無効になったらどうなるん?
民法の原則に戻ります。「特約全体が無効になり、責任を負わなくてよい」ではなく、むしろ売主に厳しい原則が復活する。ここも「保護される側が困らない方向に直す」です。
残りの2つ、割賦販売の解除の制限(分割払いが遅れても、30日以上の期間を定めて書面で催告しなければ解除できない)と所有権留保の禁止(代金の3割超を受け取ったら、登記を買主に移さなければならない)は、出題頻度が下がるので今日は名前と一行だけ置いておきます。

5. 報酬 ── 速算式は1本だけ

では最後の単元、報酬額の制限(46条)。宅建業は、国土交通大臣の告示でもらえる報酬の上限が決まっている商売です。
広告運用の手数料が法律で上限20%って決められとるようなもんか。……えげつない規制やな。
独占資格で守られた商売の見返りです。計算は売買の媒介が基本形で、代金400万円超なら速算式1本。

報酬上限(税抜)= 代金 × 3% + 6万円

過去問で確認します。「課税事業者である宅建業者が、代金1000万円の宅地の売買の媒介を行い、依頼者の一方から報酬を受け取る場合、その上限額は39万6000円である」──

1000万×3%で30万、+6万で36万。それに消費税10%乗せて39万6000円。……計算自体は楽勝やな。
計算は簡単です。落とすのは計算ではなく枠組みのほう。3つ覚えてください。
  • この上限は依頼者の一方からもらえる額。売主からも買主からも媒介を受けていれば、それぞれから36万円(税抜)まで
  • 代理なら媒介の2倍。過去問「売買の代理の報酬上限は媒介の3倍である」──×2倍です
  • ただし売主・買主の双方から受け取る場合も、合計で代理の上限(媒介の2倍)までが天井
一方から1倍、代理で2倍、全部合わせても2倍が天井、と。

6. 貸借の報酬 ── 「合計1か月」と居住用の0.5か月

貸借はもっとシンプルで、双方から受け取る報酬の合計が借賃の1か月分(+消費税)まで
そして居住用建物だけ、内側にもう1本線があります。過去問。「居住用建物の貸借の媒介では、依頼者の承諾を得ている場合を除き、依頼者の一方から受け取れる報酬は借賃の0.5か月分が上限である」──
家賃10万の部屋なら、原則は貸主から5万・借主から5万。「仲介手数料家賃1か月分」ってよう見るけど、あれは承諾を取っとるからなんか。
そうです。依頼を受けるにあたって承諾があれば一方から1か月分まで寄せられる(それでも合計1か月は不変)。この0.5か月ルールは居住用建物だけで、店舗や事務所の貸借にはありません──合計1か月の中なら配分自由。
もう1つ、居住用以外だけの特例が権利金。返還されない権利金の授受があれば、その額を売買代金とみなして速算式で計算できる。過去問。「居住用建物の貸借で権利金の授受があるときは、権利金の額を売買代金とみなして報酬額を計算することができる」──×。居住用には適用なしです。
居住用だけ二重に守られとるんやな。住むところは生活インフラやから、か。
それから広告費。原則、報酬とは別に費用を請求することはできませんが、依頼者の依頼に基づいて行った広告の料金だけは別途受領できます。「通常の業務で生じる広告費も別途請求できる」と来たら×──依頼の有無が線です。
俺の業界の言葉で言うたら、通常掲載は手数料込み、特別出稿はクライアント実費、みたいな整理やな。

7. 2024年改正 ── 空き家特例は「800万円以下→33万円」

最後に、狙われやすい改正点。低廉な空家等の特例です。
地方の空き家は、売買代金が安すぎて速算式だと報酬が数万円にしかならず、調査の手間倒れで業者が誰も扱わない──それを直すための特例で、2024年7月施行の改正で拡充されました。

代金800万円以下の宅地・建物の売買の媒介では、あらかじめ報酬額について依頼者に説明し合意していれば、30万円×1.1=33万円を上限として受領できる。売主側・買主側どちらの依頼者からも可

800万の物件やと速算式なら30万やから、まあ近いけど、200万の物件やったら速算式12万のところが33万まで取れるんか。だいぶ変わるな。
改正前は「400万円以下・18万円・売主側のみ」だったので、800万円以下・33万円・双方OKへの3点拡大です。改正直後の数字は本試験が大好物なので、800・33・双方・事前の説明と合意の4点セットで持っておいてください。

8. P1宅建業法、完結

これで宅建業法11本が終わりました。免許→宅建士→営業保証金→媒介契約→広告→35条→37条→8種制限→報酬。50問中20問がこの範囲から出ます。
振り返ると、思想は最初から最後まで一緒やったな。素人側に合わせて義務と上限を作る
その一言が言えれば、P1の目的は達成です。カリキュラム上の期末チェックは「業法カードの正答率70%」──アプリのカード100枚がこの11本と論点同期してあるので、ここからは毎日の回転で数字を作る番です。連載が9日止まっていた間、回転も止まっていたはずなので、まずは1日10枚から再開しましょう。

今日の持ち帰り

損害賠償額の予定+違約金は合算で代金の2割まで。超えた部分だけ無効。 保全措置は未完成5%・完成10%・共通1000万円。 買主が登記を得たら不要。講じなければ買主は支払いを拒否できる。 他人物売買は取得契約(予約含む)があれば可。停止条件付きは不可。 契約不適合の特約は「引渡しの日から2年以上」だけ有効。 契約締結日起算は無効→民法の原則(知った時から1年以内に通知)に戻る。 報酬の速算式=代金×3%+6万円(税抜)。代理は2倍、双方合計でも2倍まで。 貸借は双方合計で借賃1か月分。居住用は一方0.5か月が原則(承諾で変動可)。権利金特例は居住用以外だけ。 空き家特例(2024年改正)=800万円以下・上限33万円・双方から可・事前の説明と合意が要件。

P1最後の3問。
こい。
第1問。「宅建業者が自ら売主となる未完成マンション(代金4000万円)の売買で、保全措置を講じずに手付金300万円を受領することができる」。
4000万の5%は200万。300万はオーバーしとるから、保全措置なしでは受け取られへん。×や。
第2問。「売買の媒介と代理の報酬上限について、代理は媒介の3倍である」。
×。代理は媒介の2倍。3倍は引っかけ。
第3問。「代金800万円以下の低廉な空家等の売買の媒介では、あらかじめ報酬額を説明し合意していれば、売主・買主いずれの依頼者からも33万円を上限に報酬を受領できる」。
○。2024年改正で800万以下・33万・双方OKになったやつ。事前の説明と合意が条件な。
全問正解、P1完走です。次は第12回──P2権利関係に入ります。「契約を取り消せる人たち」、民法の制限行為能力者から。
ついに民法か。沼って聞くけど。
沼です。だからP2の初回で、沼に入らないためのルールを最初に決めます。権利関係は14問ありますが、業法と戦い方がまったく違う。そこから話します。

この連載は、受験生Rayと伴走AI「クロ」の学習記録です。僕は宅建の専門家ではありません。学習には必ず最新年度のテキストと一次ソースを確認してください。間違いに気づいたら、直したことも含めて次の回で書きます。