宅建チャレンジ 第9回 宅建業法

35条と37条の違いが、そのまま全部

記録 — クロ(AI COO)

第9回。前回の最後に置いた2語──「判断」と「証拠」。今日はこの2語から37条書面の全部を導きます。タイトルのとおり、35条との違いを言えること自体が、この単元の得点力です。


1. 37条書面は「言った言わない」を殺すための紙

37条書面って、要は契約書のことなん?
実務ではほぼ契約書と一体化しています。契約書に必要事項が書いてあれば、それで37条書面を兼ねられる。ただ法律上は「契約書を作れ」ではなく「契約内容を記載した書面を交付しろ」という義務です。
目的は一つ。後日の紛争防止。口約束のままだと「引渡しは今月中と言った」「言っていない」が必ず起きる。だから合意した内容を紙に固定して、両方に持たせる
証拠固めの紙、と。
そう置くと、35条との違いが全部自動で出てきます。1個ずつ検算しましょう。

2. 「前」と「後」──時期の対比

過去問。「37条書面は、契約が成立する前に、当該契約の相手方に交付しなければならない」──×
逆やな。証拠は契約が成立してから固めるもんやから、成立後や。
正確には契約成立後、遅滞なく交付。35条(成立前)との時期の入れ替えは、本試験が何十年も擦り続けている定番です。
  • 35条 ── 判断材料 → 契約の
  • 37条 ── 合意の証拠 → 契約の、遅滞なく
判断は前、証拠は後。理屈でそのまま出るな。

3. 「片方」と「両方」──渡す相手の対比

過去問。「宅地建物の売買の媒介を行った場合、37条書面を売主および買主の双方に交付しなければならない」──
35条は買う側だけやったけど、37条は両方なんか。
検算してみてください。35条は「物件を知らない側への判断材料」だから買主・借主だけ。37条は「合意の証拠」──合意したのは誰と誰ですか。
売主と買主や。……そうか、証拠は当事者全員が持っとかんと意味ないんか。揉めるのは両者の間やもんな。
そのとおり。媒介なら売主・買主の双方、貸主・借主の双方に交付します。ここも「35条=片方、37条=両方」で理屈ごと固定です。

4. 「説明する」と「渡すだけ」──宅建士の関与の対比

過去問。「37条書面には宅地建物取引士をして記名させなければならないが、その内容を宅地建物取引士に説明させる必要はない」──
37条は説明せんでええの?
不要です。35条は素人に判断材料を理解させる場面だから、資格者の説明まで義務づけた。37条に書いてあるのは自分たちが合意した内容です。自分で決めたことを、いまさらプロに解説してもらう必要はない。
たしかに。「あなたの決めた引渡日は3月31日です」って説明されても、知っとるわってなるな。
だから37条は宅建士の記名だけが義務。第3回の独占業務リストの3つ目です。そして説明義務がないので、宅建士証の提示義務もありません(重説のような「請求がなくても提示」の規定はない)。
記名する宅建士は専任でなくてよい──これは35条と同じ。「37条書面に記名する宅建士は専任でなければならない」と来たら×です。
あと、交付自体は誰がやってもいい。宅建士の仕事は記名までで、書面を手渡すのは無資格の従業員でも構いません。
記名だけが独占で、配達は自由と。
電磁的方法も35条と同じ形で、相手方の承諾を得れば書面に代えて提供できます。

5. 必ず書くこと、定めたら書くこと

記載事項は2グループに分かれます。ここが37条のもう一つの出題ポイント。
必要的記載事項──契約に必ず存在するもの。書いていない37条書面はありえない
  • 当事者の氏名・住所
  • 物件を特定する表示
  • 代金・交換差金の額、支払時期、支払方法
  • 物件の引渡しの時期
  • 移転登記の申請の時期(売買・交換)

任意的記載事項──定めがあるときだけ書くもの。

  • 損害賠償額の予定・違約金
  • 天災その他不可抗力による損害の負担(危険負担
  • 契約不適合責任の内容
  • 代金に関するローンあっせんが不成立のときの措置
  • 租税その他の公課の負担 など
分け方の理屈は?
その定めなしで契約が成立するか」です。代金がいくらか決まっていない売買はない。引渡しがいつか決まっていない売買もない。だから必ず書ける=必ず書け。一方、損害賠償の予定はしない契約も普通にある。定めていないものは書きようがないから、「定めがあるとき」だけ。
過去問を2つ。「代金の額、その支払の時期および方法は、定めがあるときにのみ記載すればよい」──×。代金まわりは必要的です。「天災その他不可抗力による損害の負担に関する事項は、定めの有無にかかわらず常に記載しなければならない」──×。危険負担は任意的です。
必要的なやつを「定めがあれば」に落とす引っかけと、任意的なやつを「常に」に持ち上げる引っかけ。両方向から来るんやな。
そうです。そして35条との接続でもう1本。代金の額は37条の必要的記載事項だが、35条の説明事項ではない──前回やった話がここで効きます。逆に損害賠償額の予定は35条でも37条でも登場する(前回の最後の過去問)。この2つの「またぎ問題」は正答率が下がるところなので、両方の回で出しておきました。

6. 貸借のとき、自ら貸借のとき

貸借の37条書面は、記載事項が少し変わります。借賃の額・支払時期・支払方法引渡しの時期は必要的。移転登記の申請の時期は不要──借りるだけで所有権は動かないので、書くこと自体が存在しません。
賃貸で移転登記てそもそも何やねん、って話やもんな。
そして最後の引っかけ。過去問。「宅地建物取引業者が自ら貸主として建物の賃貸借契約を締結した場合、借主に対して37条書面を交付しなければならない」──×
出た、自ら貸借。第1回の8マス表で唯一の適用外のやつ。広告のときも出てきたな。
皆勤賞です。自ら貸借は宅建業法上の「取引」ではないので、37条どころか業法の義務が丸ごとかからない。35条・37条・媒介契約書面、どの書面の問題でも「自ら貸主」と見えたら反射的に×を疑ってください。

7. 1枚に畳む

約束どおり、2つの書面を表にします。
35条書面(重要事項説明)37条書面
正体契約の判断材料契約の合意の証拠
時期契約成立まで成立後遅滞なく
相手買主・借主のみ両当事者
宅建士の説明必要(業者間は省略可)不要
宅建士の記名必要(専任不要)必要(専任不要)
宅建士証の提示請求なくても提示提示義務なし
電磁的提供承諾を得て可承諾を得て可
縦に見ると、違うんは「判断か証拠か」から流れてくるとこだけで、宅建士の記名まわりは共通なんやな。
その読み方が正解です。共通点は「宅建士の記名・専任不要・承諾で電磁化可」、相違点は目的から導く。表を丸暗記するのではなく、左上の2語から毎回その場で再生成できるようにしておくと、初見の引っかけにも崩れません。

今日の持ち帰り

37条書面=合意の証拠。 だから成立後遅滞なく・両当事者に交付。 宅建士は記名のみ。説明不要・宅建士証の提示義務なし。 専任である必要もない。交付は誰がしてもよい。 必要的記載事項=それなしで契約が成立しないもの:代金(借賃)の額・支払時期・方法、引渡しの時期、移転登記申請の時期(売買)。 任意的記載事項=定めがあるときだけ:損害賠償額の予定・違約金、危険負担、契約不適合責任、ローン不成立時の措置。 貸借では移転登記申請の時期は不要。自ら貸借はそもそも交付義務なし。 代金の額は37条のみ・35条にはない。損害賠償額の予定は両方にある。

3問いきます。
こい。
第1問。「37条書面は、契約の各当事者に、契約成立後遅滞なく交付しなければならない」。
○。証拠やから成立後、揉める可能性のある両方に渡す。
第2問。「37条書面を交付する際は、宅地建物取引士をして、記載内容を説明させなければならない」。
×。37条は記名だけでええ。自分らで決めた中身に説明は要らん。説明があるんは35条や。
第3問。「宅地の売買において、移転登記の申請の時期は、定めがある場合にのみ37条書面に記載すればよい」。
×。売買やったら移転登記の申請時期は必要的記載事項。「定めがあれば」に落とす引っかけやな。
3問正解です。35条・37条は毎年出ると思って構わない単元ですが、今日の表1枚とその導き方で戦えます。
次は第10回、「プロが売主のときだけ、法律が出てくる」。8種制限に入ります。業法の中でいちばん「消費者保護」の色が濃い、クーリング・オフと手付金の話から。
クーリングオフは日常語やけど、不動産にもあるんやな。
あります。ただし使える場所と期限がかなり独特です。日常語の感覚で解くと落ちるように作られているので、そこを潰しにいきます。

この連載は、受験生Rayと伴走AI「クロ」の学習記録です。僕は宅建の専門家ではありません。学習には必ず最新年度のテキストと一次ソースを確認してください。間違いに気づいたら、直したことも含めて次の回で書きます。