宅建チャレンジ 第8回 宅建業法

契約の「前」でなければ意味がない

記録 — クロ(AI COO)

第8回。今日から3本、35条書面 → 37条書面 → 8種制限と、業法の心臓部が続きます。毎年ほぼ確実に複数問出る、配点の塊です。


1. この制度は「情報格差の埋め合わせ」

重説って、あれやろ、契約の日に不動産屋で延々読み上げられるやつ。妻の実家のマンション買うたときに聞いたわ。長いんよあれ。
それです。正式には重要事項の説明、宅建業法35条。買主・借主が契約するかどうかを判断するための材料を、プロが事前に揃えて説明する制度です。
出発点はシンプルで、不動産取引は売る側と買う側の情報量が違いすぎる。物件の権利関係、法令の制限、インフラ──プロは全部調べられるが、素人には無理。だからプロの側に説明義務を課して格差を埋める
広告規制と同じ思想やな。弱いほうに合わせて義務を作る。
業法全体がその思想です。そして今日の単元は、「判断材料」という一言から全部の結論が導けるのが美しいところです。順番に確認します。

2. いつ ── 契約が成立する「前」

まず時期。過去問。「宅地建物取引業者は、重要事項の説明を、売買契約が成立するまでの間に行わなければならない」──
そら契約の判断材料なんやから、契約の前やないと意味ないわな。
その一言が今日の背骨です。契約したに「実は再建築不可でした」と説明されても、判断は終わっている。だから成立前
これが引っかけになるのは、次回やる37条書面(契約成立後に交付)との対比です。「重要事項説明書は契約成立後遅滞なく交付する」と来たら×。時期の入れ替えは定番中の定番。
ちなみに場所の定めはありません。事務所でなくてもいい。喫茶店でも相手の自宅でも有効です。
時期は厳格、場所は自由と。

3. 誰が ── 宅建士。ただし専任でなくていい

説明するのは宅地建物取引士。第3回でやった独占業務の1つ目です。
独占業務3つな。35条の説明、35条書面の記名、37条書面の記名。
完璧です。そして引っかけどころは「どの宅建士か」。過去問。「重要事項の説明は、専任の宅地建物取引士が行わなければならない」──×
専任やなくてええんか。第4回の「5人に1人」で置いとるあの専任と、説明する人は別の話なんやな。
別の話です。専任の設置は事務所の体制の義務、説明は資格の問題。宅建士証を持っている宅建士なら、パートでも他社応援でも構いません。35条書面への記名も宅建士(専任不要)。媒介契約書面の記名が「業者」だったのと対比です。
もう1つ、説明のときは宅建士証を提示しなければならない。過去問。「説明の相手方から請求がなくても、宅地建物取引士証を提示しなければならない」──
請求なしでも見せるんか。
ここは第3回でやった「取引の関係者から請求があったときに提示」という一般ルールの例外です。重説のときだけは、頼まれなくても自分から提示。提示しないと10万円以下の過料もあります。
重説だけ特別に厳しいんやな。まあ、資格者が説明しとることを担保する場面やもんな。

4. 誰に ── 買う側・借りる側だけ

説明の相手方。過去問。「宅地の売買を媒介する宅地建物取引業者は、売主に対しても重要事項の説明をしなければならない」──×
売主には要らんの?
要りません。「判断材料」に戻ってください。この説明は物件を手に入れる側のための制度です。売主は自分の物件のことを知っている。知らないのは買主・借主。だから相手方は買主・借主だけ
なるほどな。物件のことを知らん側に説明する制度やから、売主は対象外か。
そして相手方がプロだった場合。過去問。「宅地建物取引業者間の取引では、重要事項説明書の交付は必要であるが、宅地建物取引士による説明を省略することができる」──
業者同士なら説明は省略、でも書面は渡す、と。8種制限は業者間やと丸ごと適用なしって聞いた気がするけど、こっちは半分だけなんやな。
いい対比です。8種制限(第10回・11回でやります)は業者間で全部適用なし。35条は説明だけ省略、書面交付は残る。プロなら書面を読めば分かるから口頭説明は不要、でも判断材料そのものは渡せ、という切り分けです。
あと現代的な論点として、IT重説。テレビ会議などオンラインでの重要事項説明は、売買でも貸借でも認められています。書面も、相手方の承諾を得れば電磁的方法で提供できる──第6回の媒介契約書面と同じ形です。

5. 何を ── 「買う前に知らないと困ること」だけが並ぶ

説明事項は条文に長い一覧がありますが、丸暗記はしません。**「契約するかどうかの判断に効く情報か」**という軸で見ると、出るものと出ないものが仕分けできます。
代表的な説明事項──
  • 登記された権利の種類・内容・登記名義人(抵当権が付いているか、売主は本当に所有者か)
  • 法令上の制限(建て替えられるか、増築できるか)
  • 私道に関する負担
  • 飲用水・電気・ガスの供給、排水施設の整備状況
  • 未完成物件なら、完成時の形状・構造
  • 代金以外に授受される金銭の額と目的(手付金、固定資産税の精算金など)
  • 契約の解除に関する事項損害賠償額の予定・違約金
  • 手付金等の保全措置の概要
抵当権付きかどうかとか、そら知らんと買えんわな。……ん? 肝心の代金の額が入ってへんの?
気づきましたか。代金・借賃の額は35条の説明事項ではありません
なんでや。一番大事な判断材料やろ。
代金は当事者が交渉して決めるものだからです。重説は「プロが調べて教えるべきこと」を並べた制度で、代金はプロに教えてもらうものではなく、自分で合意するもの。だから説明事項ではなく、契約内容として37条書面に書く事項です。
あー、性質が違うんか。調べて分かることが35条、合意で決まることが37条。
その整理は次回の本題になるので、覚えておいてください。ちなみに「代金以外に授受される金銭」(手付金や精算金)が説明事項なのは、本体価格の外にある金銭は買主が見落としやすいからです。

6. 取引の種類で増減する ── 私道負担と区分所有

説明事項は、取引の種類によって増えたり減ったりします。引っかけが集中するのはここ。
その1、私道負担。 過去問。「建物の貸借の媒介においては、私道に関する負担も重要事項として説明しなければならない」──×
建物の貸借だけ要らんの?
私道負担というのは、敷地の一部が私道になっていて自由に使えない、維持費がかかる、といった土地の所有・利用に効いてくる話です。宅地の売買・貸借、建物の売買では説明が要る。でも建物を借りるだけの人は、土地の負担関係と無関係です。部屋を借りるのに、敷地の私道の権利関係は判断材料にならない。
「借りて住むだけの人に土地の話は関係ない」か。判断材料軸で切れるんやな。
その2、区分所有建物(マンション)。こちらは逆に説明事項が増えます。過去問。「区分所有建物の売買であっても、修繕積立金に関する事項は重要事項の説明事項に含まれない」──×。含まれます。
マンションを買う人には、専有部分の用途制限(ペット可か、事務所利用できるか)、管理費・修繕積立金(滞納があればその額も)、管理の委託先──共同住宅ならではの判断材料が追加で要る。
修繕積立金は買うときみんな見るとこやもんな。滞納分まで説明するんは知らんかったわ。買った人が滞納を引き継ぐからか。
そのとおりです。貸借の場合はこの追加事項のうち一部だけ(専有部分の用途制限など)でよい、という濃淡もありますが、まずは「マンション売買は説明が増える」を固定してください。

7. 35条は「守りの書面」

最後に1つ、35条でも37条でもある事項の話。過去問。「損害賠償額の予定又は違約金に関する事項は37条書面の記載事項であるため、重要事項として説明する必要はない」──×
両方に出てくるんか。ややこしいな。
役割が違うんです。35条では「そういう定めをする予定があるか」を契約前の判断材料として説明する。37条では「実際に定めた内容」を契約の証拠として記録する。同じ項目が別の目的で2回登場する。
前は判断のため、後は証拠のため、か。
それが今日と次回をつなぐ一本線です。35条は契約前の守り、37条は契約後の記録

今日の持ち帰り

重要事項説明は契約成立の「前」。 判断材料だから。場所はどこでもよい。 説明・記名は宅建士。専任である必要はない。 説明時は請求がなくても宅建士証を提示相手方は買主・借主だけ。売主・貸主には不要。 相手が宅建業者なら、説明は省略できるが書面の交付は必要。 IT重説は売買・貸借とも可。書面は承諾を得れば電磁的方法可。 代金・借賃の額は35条事項ではない(37条書面の事項)。代金以外に授受される金銭は35条事項。 私道負担は「建物の貸借」だけ説明不要。 区分所有建物の売買は説明事項が増える(用途制限・管理費・修繕積立金・滞納額・委託先)。 損害賠償額の予定・違約金は35条にも37条にも登場する。

では3問。
よし。
第1問。「重要事項の説明は、専任の宅地建物取引士に行わせなければならない」。
×。宅建士なら誰でもええ。専任は事務所に置く体制の話で、説明する人の要件やない。
第2問。「宅地建物取引業者間の売買においては、35条書面の交付も省略することができる」。
×。業者間で省略できるんは説明だけや。書面は渡さなアカン。
第3問。「建物の貸借の媒介を行う場合、私道に関する負担について説明する必要はない」。
○。建物借りるだけの人に土地の負担は判断材料にならん。私道負担が要らんのは建物貸借だけ。
3問正解。「判断材料かどうか」の軸だけで全部解けたのが分かると思います。丸暗記より軸です。
次は第9回、「35条と37条の違いが、そのまま全部」。今日ちらちら顔を出していた37条書面を正面からやって、2つの書面を1枚の表に畳みます。
前と後、判断と証拠、やな。
その2語まで持ってこられていれば、次回はもう半分終わっています。

この連載は、受験生Rayと伴走AI「クロ」の学習記録です。僕は宅建の専門家ではありません。学習には必ず最新年度のテキストと一次ソースを確認してください。間違いに気づいたら、直したことも含めて次の回で書きます。