第35回。公開済みの直前回は第32回の国土利用計画法でした。前回予告した第33回(農地法)と第34回(盛土規制法・土地区画整理法)はまだ出ていません。今日はまた順番を飛ばして、P3の締めにあたる税に入ります。
前回は、大きい土地が動いたときに知事へ届け出る話でした。今日は土地や建物が動いたとき、そして動かずに手元にあるときにお金を払う話です。
1. 一度きりの税と、毎年の税
今日の二つの税は、最初に性格の違いを押さえておくと混ざりません。
不動産取得税 … 不動産を取得したときに、一度だけかかる。都道府県の税。
固定資産税 … 不動産を持っている間、毎年かかる。市町村の税。
買うたときに一回払うのと、持っとる限りずっと払い続けるのと、か。
そうです。取得税は入場料、固定資産税は年会費と考えると分かりやすいと思います。払う先も違っていて、入場料は都道府県、年会費は市町村に払います。
家賃みたいなもんやな、固定資産税は。自分の家やのに。
持ち家の人がよくそう言います。今日は入場料から始めて、年会費に進みます。
2. 不動産取得税は「取得」なら、ほとんど何でもかかる
不動産取得税は、土地や家屋を取得した人にかかります。ここで言う「取得」はかなり広い意味です。
| 取得の仕方 | 取得税 |
|---|
| 売買・交換 | かかる |
| 贈与 | かかる(タダでもらっても対象) |
| 家屋の新築 | かかる |
| 家屋の増築・価格が上がる改築 | かかる(増えた分) |
| 相続 | かからない |
| 法人の合併(一定の分割も) | かからない |
贈与でもかかるんか。前回の国土法は、タダやったら届出いらんかったやろ。
いいところに気づきました。国土法は対価があるかを条件にしていましたが、取得税はお金を払ったかどうかを見ません。不動産が自分のものになったという事実に課税します。だから贈与も対象です。
ほな、相続が外れとるのはなんでや。相続でも自分のもんになるやろ。
相続は、自分から「取りにいった」取得ではありません。亡くなった人の立場をそのまま引き継ぐだけなので、形式的な移転として非課税にしています。法人の合併も同じ理屈で、会社がまるごと一つになるだけです。
国土法は「契約やないから」で相続を外して、取得税は「形だけの移転やから」で外すんやな。結論は同じでも理由が違う。
そうです。どちらも相続は対象外、と覚えておけば問題は解けます。ただ、贈与の扱いは二つの法律で逆になるので、そこだけ注意してください。
もう一つ、試験によく出る点があります。取得税は登記をしたかどうかに関係なくかかります。
登記せんと黙っとったら、ばれへんのちゃうの。
ばれるかどうかと、課税されるかどうかは別の話です。第18回では、登記は第三者に対抗するための手続だと整理しました。税金はそれとは関係がなく、実際に取得したかどうかで決まります。
3. いくらに、何%かけるのか
計算の骨組みはどの税も同じで、課税標準 × 税率です。
取得税の課税標準は、実際に払った値段ではありません。固定資産課税台帳に登録された価格を使います。固定資産税を計算するときの価格を、取得税でも使い回しているわけです。
1億で買うても、台帳の値段が5千万やったら5千万で計算するんか。
そういうことです。売買の値段は交渉で上下しますが、公的な物差しは一つに決めておきたい、という考え方です。
そのうえで、取得税には特例がいくつかあります。
宅地(宅地として評価される土地)を取得した場合、課税標準は価格の2分の1。
税率は、標準税率が4%。土地と住宅は特例で3%。
4%が原則で、土地と家は3%か。……ほな4%になるのは何や。
住宅以外の家屋、たとえば店舗や事務所です。宅建の試験に出てくる不動産の大半は土地か住宅なので、実際に出てくる数字はほぼ3%になります。
一つ断っておくと、宅地の2分の1と税率3%はどちらも期限つきの特例で、これまで延長が繰り返されてきました。受験する年度のテキストで、まだ続いているかどうかを確認してください。
4. 新築住宅は、1,200万円引いてもらえる
住宅を新築した場合の特例も押さえます。
新築住宅で、床面積が50㎡以上240㎡以下なら、課税標準から1,200万円を控除する。
1,200万も引いてもらえるんやったら、普通の家はほとんど税金かからんのとちゃう。
台帳上の建物の価格は、建築費よりかなり低くなることが多いので、新築の一般的な住宅ならほぼゼロになることも珍しくありません。国として、家を建てる人から入場料をあまり取りたくない、ということです。
240㎡を超えたら?
控除はありません。広すぎる家は優遇しないという線引きです。反対に50㎡未満の小さすぎる住宅も外れます。この**50〜240㎡**という範囲は、次に出てくる固定資産税の新築住宅の減額(50〜280㎡)と似ているので、ひっかけの材料になります。
この控除は、個人か法人かを問いませんし、自分で住むか貸すかも問いません。一方、中古住宅の控除は、個人が自分で住む場合に限られ、控除額も建築された時期によって変わります。ここは「新築は誰でも、中古は自分で住む個人だけ」と覚えておけば十分です。
5. 小さい取得は、そもそも課税しない
最後に免税点です。課税標準がこの額に届かなければ、取得税はかかりません。
| 取得したもの | 免税点(課税標準がこれ未満なら非課税) |
|---|
| 土地 | 10万円 |
| 家屋(新築・増築などの建築) | 1戸につき 23万円 |
| 家屋(売買・贈与などその他) | 1戸につき 12万円 |
土地10万、建てた家23万、買うた家12万。……なんで家だけ二つに分かれとるんや。
理由まで説明できる資料が手元にないので、ここは数字として覚えることにします。覚え方としては「建てたら23、買ったら12」。建てたほうが大きい数字、と押さえておけば取り違えは防げます。
理由が分からんときは、正直にそう言うんやな。
分からない理由を作り上げるほうが危ないので。
6. 固定資産税は、1月1日の持ち主が1年分払う
ここから年会費です。固定資産税でいちばん大事なのは日付です。
固定資産税の賦課期日は1月1日。その日に固定資産課税台帳に所有者として登録されている人が、その年度の1年分を納める。
ほな、2月に家を売ったら? 1か月しか持ってへんのに。
売主が1年分を納めます。税の世界では、日割りはしません。
ほんまか。不動産屋で「固定資産税の日割り精算」って聞いたことあるで。
それは売主と買主の間で、「持っていた期間に合わせて負担しましょう」と取り決めて精算しているものです。市町村から見れば、納税する義務があるのは1月1日の所有者だけです。試験では「年の途中で売買したら、売主と買主が日割りで納税義務を負う」という肢が出ますが、これは×です。
契約上の精算と、税金の義務は別物か。第13回の「当事者の話」と「第三者の話」を分けるのに似とるな。
近い考え方だと思います。税務署や市町村に対して誰が払うかと、当事者同士で誰が負担するかは別の問題です。
もう一つ細かい点があります。質権や、存続期間が100年より長い地上権が設定されている土地では、所有者ではなく質権者・地上権者が納税義務者になります。
100年超えの地上権なんて、ほぼ持ち主みたいなもんやしな。
そういう理解でいいと思います。その土地を実際に支配している人から取る、ということです。
7. 固定資産税の計算と、住宅用地の特例
計算です。
課税標準は固定資産課税台帳の登録価格。価格は3年ごとに評価替えする。
標準税率は1.4%。
免税点は、同じ市町村にある同じ人の土地の合計が30万円未満、家屋の合計が20万円未満。
取得税の免税点は土地10万・家23万と12万で、固定資産税は土地30万・家20万か。数字だらけやな。
混ざりやすいので、表にしておきます。
| 不動産取得税 | 固定資産税 |
|---|
| 課税する人 | 都道府県 | 市町村 |
| いつ | 取得したとき一度 | 毎年(1月1日基準) |
| 税率 | 標準4%(土地・住宅は3%) | 標準1.4% |
| 免税点(土地) | 10万円 | 30万円 |
| 免税点(家屋) | 建築23万円/その他12万円 | 20万円 |
| 土地の特例 | 宅地は課税標準2分の1 | 住宅用地は6分の1・3分の1 |
最後の行が、今日いちばん出題されやすいところです。固定資産税には住宅用地の特例があります。
住宅用地のうち、住宅1戸あたり200㎡以下の部分(小規模住宅用地)… 課税標準が6分の1
200㎡を超える部分 … 課税標準が3分の1
家の建っとる土地は、ぐっと安うなるんやな。
住まいの土地に毎年重い税をかけると、住み続けること自体が負担になりますから。取得税の宅地の特例は「2分の1」の一つだけでしたが、固定資産税は200㎡を境に6分の1と3分の1の二段になっています。「取得税は2分の1、固定資産税は6と3」とセットで覚えてください。
8. 新築住宅は、しばらく税額が半分
固定資産税にも新築住宅の優遇があります。こちらは課税標準を下げるのではなく、税額を減らす仕組みです。
新築住宅で居住部分の床面積が50㎡以上280㎡以下なら、120㎡までの部分について、税額が2分の1になる。
期間は3年度分。中高層の耐火建築物などは5年度分。
取得税は240㎡までで、こっちは280㎡までか。さっき言うとったひっかけやな。
そうです。取得税の控除は50〜240㎡、固定資産税の減額は50〜280㎡。どちらも下限は50㎡で、上限だけが違います。減額されるのが120㎡までの部分だけ、というのも覚えておいてください。
これも期限つきの特例として延長されてきたものなので、受験年度のテキストで確認をお願いします。
納め方は? 年会費やったら分割できるんか。
固定資産税は市町村から納税通知書が届く普通徴収で、原則として年4回に分けて納めます。取得税も普通徴収ですが、こちらは一度きりです。
9. 締めの3問
締めの3問。
こい。
第1問。「相続により土地を取得した場合、その土地の取得について不動産取得税が課される」。
×。相続は立場を引き継ぐだけの形だけの移転やから、非課税。……贈与やったら○になるんやろ。
そのとおりです。贈与ならタダでも課税されます。
第2問。「年の途中で土地の売買があった場合、その年度の固定資産税は、売主と買主がそれぞれの所有期間に応じて日割りで納める義務を負う」。
×。納める義務があるんは1月1日に台帳に載っとる持ち主だけで、1年分まるごと。日割りは当事者同士の精算の話で、税金の義務とは別や。
第3問。「固定資産税の課税標準について、住宅用地のうち住宅1戸につき200㎡以下の部分は、その価格の6分の1の額とする特例がある」。
○。200までが6分の1、超えた部分が3分の1。取得税の宅地の2分の1とごっちゃにせえへんようにする。
3問とも取れました。第1問で贈与のパターンに先回りできたのは、国土法との違いを意識できていたからだと思います。
今日は理由で覚えられるとこと、数字で覚えるしかないとこがはっきり分かれとったな。
税は、理由の分かる骨組み(誰が、いつ、何に)と、覚えるしかない数字(税率、免税点、面積)に分かれます。骨組みを理由で押さえておくと、数字をどこに置けばいいかで迷わなくなります。
10. 次回予告
次回は第36回、「紙に貼る税と、価格の物差し」──印紙税・登録免許税・所得税と、地価公示・不動産鑑定評価です。P3の最後の1本になります。
今日の税は「買ったとき」と「持っているとき」でした。次回は「契約書を作ったとき」「登記をしたとき」「売って儲けたとき」の税を扱います。そのあとで、今日何度も出てきた「台帳の価格」とは別の、土地の値段を測る公的な物差しに入ります。
一軒の家に、税金がどんだけ絡んどんねん。
買うときから売るときまで、ほとんどの場面に何かしらの税があります。次回でひととおり出そろいます。
進行の報告です。第35回の予定は9月18日で、下書きは9月29日。遅れは11日です。
前回は8日やったな。増えとるやん。
増えています。それに加えて、第33回と第34回はまだ出ていません。飛ばした回は減るどころか、今日の時点で2本残っています。P3の締めの期末チェック(9月21日)はもう過ぎていて、P4の過去問期に予定どおり入ることもできていません。
ほな、どないすんねん。
本数は削りません。ただ、連載のほうが遅れていても、学習のほうはアプリのカードで先に進められます。第36回と、飛ばしている2本の状況は、次回また数字で報告します。
今日の持ち帰り
不動産取得税は「取得したとき一度だけ」の都道府県税。固定資産税は「持っている間、毎年」の市町村税。
取得税は売買・交換・贈与・新築・増改築でかかる。登記の有無は関係ない。相続・法人の合併は非課税。 国土法と違って、贈与も対象になる。
取得税の課税標準は固定資産課税台帳の価格。宅地は特例で2分の1。標準税率4%、土地・住宅は特例で3%(期限つきの特例なので、受験年度のテキストで確認する)。
取得税の免税点: 土地10万円/家屋は建築23万円・その他12万円。新築住宅(50〜240㎡)は1,200万円控除。 中古住宅の控除は個人が自分で住む場合だけ。
固定資産税は1月1日に台帳に所有者として載っている人が1年分を納める。日割りの納税義務はない(日割りの精算は当事者の取り決め)。質権者・100年超の地上権者がいれば、その人が納税する。
固定資産税: 価格は3年ごとに評価替え。標準税率1.4%。免税点は土地30万円・家屋20万円。
住宅用地の特例: 200㎡以下の部分は6分の1、超える部分は3分の1。 取得税の「2分の1」と混ぜない。
新築住宅の固定資産税: 50〜280㎡なら、120㎡までの部分の税額を3年度分(中高層耐火などは5年度分)2分の1に。 取得税の控除の240㎡と取り違えない。
この連載は、受験生Rayと伴走AI「クロ」の学習記録です。僕は宅建の専門家ではありません。学習には必ず最新年度のテキストと一次ソースを確認してください。間違いに気づいたら、直したことも含めて次の回で書きます。